不動産売却に適したタイミングとは?市況・税金・季節に分けてご紹介!

不動産売却に適したタイミングとは?市況・税金・季節に分けてご紹介!

不動産売却の理由はさまざまであり、ゆっくりと高値で売却したい方もいれば、売却期限が迫っている方もいることでしょう。
スピード重視の不動産売却であったとしても、少しでも高く売れるとうれしいものです。
そこで今回は、不動産売却に適したタイミングの見極め方を3つご紹介します。
ご自身のスケジュールとも照らし合わせて、不動産を売り出す際の参考になさってください。

不動産売却に適したタイミングの見極め方①:市況

不動産売却に適したタイミングの見極め方①:市況

不動産には定価が存在せず、不動産の売買価格は「一般的要因」「地域的要因」「個別的要因」に左右されます。
一般的要因は政治や経済の動向、地域的要因はエリアの印象や開発の進み具合、個別的要因は不動産そのものの状況や価値などです。
基本的には、景気が上向くと不動産の売買価格も上昇し、景気が悪化すると不動産の売買価格も下落します。
しっかりと市況をつかむために、「不動産価格指数」「相場」「住宅ローン金利」を確認すると良いでしょう。

不動産価格指数

不動産価格指数は、国土交通省が毎月下旬に公表している、不動産価格の推移を表すデータです。
数か月のタイムラグはありますが、表やグラフにまとめられており、不動産価格の推移を視覚的に確認できます。
ブロック(地方)別・都市圏別・都道府県別にわけられているため、確認したいエリアの推移をピンポイントで調べることも可能です。
令和6年5月末に公表された令和6年2月度の不動産価格指数を見ると、一戸建てはわずかに下落傾向にあるものの、住宅地やマンションは上昇していることがわかります。

相場

不動産業界全体や売却したい不動産の種別・エリア別の推移を確認したら、相場も確かめてみましょう。
相場と聞くと難しく感じるかもしれませんが、「レインズマーケットインフォメーション」や「不動産情報ライブラリ(旧・土地総合情報システム)」を利用すると、比較的簡単に確認できます。
「レインズマーケットインフォメーション」は不動産流通機構が、「不動産情報ライブラリ」は国土交通省が運営するウェブサイトです。
予測や仮定などではない、実際の売買取引における成約価格を確認できます。
不動産の所在地付近で類似物件の売買が成立している場合、その価格を売り出し価格の参考にすると良いでしょう。

住宅ローン金利

不動産を購入する方は、住宅ローンを利用することがほとんどです。
住宅ローンは高額であり、返済期間も長期にわたるため、金利のわずかな上昇により総返済額に大きな差が生じます。
そのため、住宅ローン金利が低いタイミングは購入希望者が増えますが、高くなると買い控える方が少なくありません。
これまで住宅ローン金利は低い状態が続いていましたが、今後は上昇するのではないかと考える専門家もいます。
具体的な数値を知りたい方は、各金融機関のホームページなどで確認可能です。

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不動産売却に適したタイミングの見極め方②:税金

不動産売却に適したタイミングの見極め方②:税金

市況のほかに、税金の面から不動産売却のタイミングを見極めるのもおすすめです。
不動産売却で利益が生じると、譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税は、所得税と住民税の総称です。
令和19年までは、復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)も加算されます。
譲渡所得税には、税率が下がるタイミングがあったり、期限内の売却で利用できる控除が用意されていたりするため、不動産売却のタイミング次第では譲渡所得税を軽減できるでしょう。
税金の面から考える不動産売却に適したタイミングの例は、次のとおりです。

所有期間が5年を超えるタイミング

譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」か、5年超の「長期譲渡所得」かによって変わります。

●短期譲渡所得の税率:所得税30% 住民税9%
●長期譲渡所得の税率:所得税15% 住民税5%


所有期間がそろそろ5年を超える方や、売却期限がない方などは、このタイミングを待って売り出すと良いでしょう。
ただし不動産の所有期間は「その年の1月1日時点で何年所有しているか」で考えます。
たとえば2020年9月に購入した不動産に長期譲渡所得が適用されるのは、2026年1月以降です。
2025年9月~12月に売却しても短期譲渡所得の税率となってしまうため、ご注意ください。

所有期間が10年を超えるタイミング(マイホームの場合)

売却したい不動産が所有期間10年を超えるマイホームの場合は、長期譲渡所得よりもさらに低い税率が適用されます。

●課税譲渡所得(譲渡所得税の計算のもととなる金額)が6,000万円以下の部分:課税譲渡所得×10%
●6,000万円を超える部分:(課税譲渡所得-6,000万円)×15%+600万円


課税譲渡所得が8,000万円のマイホームを売却する場合、計算式は「6,000万円×10%+(2,000万円×15%+600万円)」です。
築10年超のマイホームで売却価格が6,000万円を上回るケースは多くないため、ほとんどの方は6,000万円以下の部分のみ計算することになるでしょう。

相続から3年後の年末までのタイミング(空き家の場合)

売却したい不動産が相続で取得した空き家(亡くなった方の家など)の場合は、相続した日から3年が経過する年の12月31日までに売却すると、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を利用できます。
たとえば2022年3月に相続した空き家を売却するのであれば、2025年12月31日までは特例の対象期間です。
この特例を利用すると、課税譲渡所得から2,000万円まで、もしくは3,000万円までの金額を差し引くことができます。
ただし売却期限のほかにもいくつかの条件があるため、気になる方は国税庁のウェブサイトでご確認ください。

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不動産売却に適したタイミングの見極め方③:季節

不動産売却に適したタイミングの見極め方③:季節

不動産売却を良い条件で売却するには、「季節」も重要です。
市況や税金について確認する時間がない方でも、季節であれば取り入れやすいでしょう。

不動産売却に適した季節とは

不動産売買が活発化する季節は3月ごろです。
新入学や転勤に向けて新居を探す方が増加するため、買主が見つかりやすくなります。
3月に売却するタイミングを逃した方は、暑さが和らいでくる9月がおすすめです。
8月はお盆などの行事が多く、また気温が高いこともあり、内覧したいと考える方は多くありません。
公益財団法人不動産流通推進センターが公表している「2024不動産業統計集」で実際の成約件数を確認すると、令和5年3月~令和6年2月の期間で成約件数がもっとも多いのは令和5年3月と令和6年2月です。
もっとも成約件数が少ないのは8月であり、9月・10月は春ごろと同程度まで伸びています。

季節を意識して不動産売却をおこなう際のポイント

不動産を売り出す前には、査定を依頼したり、不動産会社と媒介契約を結んだりと、やるべきことが多くあります。
そのため、3月もしくは9月に不動産売買の成立を目指す場合は、それよりも早いタイミングで不動産売却を始めなくてはなりません。
不動産売却の準備を始めてから売買契約締結までの平均期間は3か月~6か月であり、このうち準備期間は1週間~1か月程度です。
3月に売買契約を締結したいと考えるのであれば、前年の12月に不動産売却の準備を開始し、1月ごろに売り出せる状態にすると良いでしょう。
9月に売買契約を締結したい方も同様に、6月には不動産売却の準備を始めることをおすすめします。

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まとめ

不動産売却に適したタイミングは一度きりではなく、市況や税金、季節などさまざまな面から見極めることができます。
不動産売却のタイミングは、市況の不動産価格指数や相場、住宅ローン金利、税金の所有期間や相続期間、そして売買が活発な3月や9月の季節を考慮して決定します。
不動産価格指数や相場、税金について確認したり、不動産売買が活発化する季節を見越して準備を始めたりすると、ご自身のスケジュールに合ったベストタイミングが見つかるでしょう。